キャリコンごきたコラム No.4 【落合監督はなぜ嫌われるのか】

 

 

現役時3度の三冠王に輝き、監督として中日の黄金時代を築いた、あの“俺流”の落合博満さん。
お好きでしょうか?
実は、先日、「嫌われた監督~落合博満は中日をどう変えたのか~(鈴木忠平著)」
をオーディオブックで読み(聞き?)ました。
落合監督時代に同じ時間を共有した、選手、コーチ、スカウト、球団フロントの証言を通じて
著者であるスポーツ紙記者が落合監督像を濃密に描いています。

2007年日本シリーズで王手をかけた第5戦、
1点リードで8回までパーフェクトを続けていた山井投手を
9回から岩瀬投手に交代させた“非情の決断”。
このとき私もテレビを見ていて9回表に落合監督が投手交代を告げた瞬間をよく覚えています。
球場内にはどよめきどころか怒号が渦巻いていました。
騒然とした中、不世出のストッパー岩瀬投手は見事3者凡退に打ち取り
落合監督は初の日本一を掴みました。

また、落合監督は日本の2連覇が期待される
2009年ワールドベースボールクラシック日本チームへの中日3選手の派遣を拒否します。
春先の大事な時期に自チームの選手を派遣するのはペナントレースの成績に悪影響を与える、
サラリーマンのように終身雇用を保証されていないプロ野球の監督や選手は自らに不利なこと、
契約に書かれていないことを拒否するのは当然、と落合監督は昂然と言い放ったのです。

一方で、良い素質を持っているが伸び悩んでいた、
森野、荒木などへの凄まじい育成ストーリーが語られます。
森野や荒木はレギュラーをつかむために追随を許さない守備力を身につける必要がありました。
落合監督は2時間以上にも及ぶノックを浴びせるなど徹底的なトレーニングを自ら施します。
あるいは、30半ばになって西武から移籍してきた和田選手は、
走者を進めるバッティングでベンチに戻ると
「走者を進めるときは俺が指示する。それ以外お前はすべてホームランをねらえ」
と落合監督から言われるのです。

果たして、落合監督は選手を駒としかみない冷徹な組織目標必達主義者なのか?
それとも個人の利害を最優先に考える熱血溢れる個人主義者なのか…。
集団主義、同調圧力が喧伝される日本社会、組織や企業において、
プロフェッショナリズムとは何か、個と組織の関係はいかにあるべきか、組織の長としてのあり様は?
など落合博満はどう考えていたのか?
そして何よりも周囲からいかなる批判を浴びても自らを貫き通す落合博満は羨ましいほどに強く、
その生き様は痛快です。これからも落合博満の発する言葉に注目していきたいと思わされた好著です。

 

「嫌われた監督~落合博満は中日をどう変えたのか~」鈴木忠平著
文藝春秋社 Amazon Audible

 

 

 

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